ようやくケアンズに戻りました。
ブリスベンでの滞在や帰宅までの旅行記は追って。
まず出産記録を忘れないうちに・・
注:かなり個人的内容かつ長いです!
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出産したのは12月28日、ブリスベンのMater Mothers Private Hospital。
直前までケアンズのPrivate Hospitalで出産する予定で、検診もこちらのDr.Wで受けてたのだけれど。
もともと”前置胎盤”+”逆子”だったため予定日より早めの1月10日に帝王切開を予定。
ところが34週で”胎盤癒着”の可能性が発覚。
何度も超音波(Scan)やMRIをとったりしたのだけど、結局診断がし難く、念のため12月28日に帝王切開が早まったのがクリスマス前。
その後また状況が変って、ブリスベンで癒着を専門に診ているDr.Gに直接診察してもらうことになり、その予約が12月28日に取れたので前日にブリスベンに飛び。
28日の朝、そのDr.Gに直接Scanしてもらっうとやはり癒着の可能性があるため、その日の午後の手術になり37週でベビ誕生。
手術直前にした血液検査で新たに”HELLPシンドローム”という異常が見つかり、帝王切開後はICUに入れられてモニタリング、誕生したベビは一晩Cが面倒みることに。
翌朝無事ICUから退室、晴れて普通病棟でベビ&Cと再会・・
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と手短に記すとこんな感じなのだけど。
まあ~~大変だった。
”前置胎盤”というだけでも、予定日に近づくにつれ大量出血の可能性があるからとヒヤヒヤしていたのに、癒着?!ということになり一気に心配度は加速。
”胎盤癒着”というのは普通なら出産後カンタンに剥がれる胎盤が、子宮の壁や内部、ひどいと他の臓器にまで癒着してしまっていて剥がれなくなるというもの。
通常、胎盤癒着は出産前に分かることが少なくて、通常なら出産した後出てくるはずの胎盤が出てこなくて発覚、緊急手術になることも多いとか。
アタクシの場合は、検診時のScanで胎盤が腎臓にかなり近いというので疑われたレアなケース。
ただ疑いがあっても画像診断も難しく、結局手術で開けてみないと癒着の有無や程度は分からないらしい。
なのでDr.Wも最後まで判断つかずに状況が二転三転したのだけど。
「念には念を」と、スペシャリストがいる&緊急事態の際にも設備やスタッフが揃っているブリスベンへ送ってくれたのが結果的には幸いしたわけです。
もしそのままケアンズで帝王切開することになっていたら、まず”HELLPシンドローム”に気づくことなく大変な状況になっていたかもしれず。
”HELLPシンドローム”というのは妊娠後期や出産後に起こる自己免疫異常で、血小板なんかの値が急激に変化するかなりレアな病状だそうです。
高血圧や痙攣、腎不全を引き起こすらしいのだけど、血液検査した時(手術直前)はすでにアタクシの血液の値はかなり異常になっていて、倒れないで普通にしていたことが不思議なくらいだったそう。
特にその日近くのホテルから病院まで暑い中歩いて行ったので、Dr.Gには病院にたどり着く前に意識不明になってた可能性もあったと言われ(!)、後から恐ろしくなった・・
病状が進むと頭痛や胃痛の症状が現れるらしく、後から考えると思い当たるふしはあり。
でも妊娠の症状の一種だと思ってたので、まさかそんなに危険な病気が隠れていたとは思いもよらなかった。
”HELLPシンドローム”の治療は妊娠をやめること=帝王切開しかないので、その日に手術できておいて本当によかった!
ただ出産後に悪化する可能性があるので、ICUに入って常に血液と血圧などをモニタリング&治療されることになり、両手にたくさんの管やチップを埋められて人生初のICUに入ることになったわけです。
手術自体はというと幸い胎盤の癒着はなく、通常の帝王切開で済んだのだけど。
前置胎盤のため出血が多くなる(胎児を取り出す前に胎盤を切ってしまうので)のと、癒着があった場合を考えて、Sell-Saverという自分の血液を体内に戻す機械や輸血用の機械&スタッフが待機していたり。
麻酔医やいろんな助手も含めると20人近くが手術室にいて、みんな緊張した面持ちで騒然とした雰囲気。
手術が始まると、痛いと聞いていた脊髄麻酔よりも手術自体の方が断然痛くてつらくて。
「痛みは感じないけど、引っ張ったり押したりする感覚はありますから」と言われていたけど、到底そんな程度じゃなく絶えられないほどの痛み。
Cによると常に背中が沿って手術台から浮いていたそう。
あまりにも痛がっているのでCが途中で見かねて麻酔医に麻酔の量を増やすように言ったらしい。
普通はベビを取り出した後、胎児の健康に問題がなければ母体に乗せてカンガルーケアをするんだけど。
小児科医の助手がアタクシのところへベビを持ってきてくれたらしいけど、痛みにもだえていたから医師がストップしたんだとか。
ベビが取り出された瞬間、掲げて見せてくれたのは覚えているけど、その後は痛みと戦っていたのであまり記憶がなく。
手術後のリカバリールームで初めてベビを胸元に乗せてくれたけど、手術による体温低下と麻酔の副作用による体の震えと戦っていたことの記憶の方が強くて後で写真を見てああそうだったかも、と。
ICUに移されて夜中やっとCとベビが面会に来ることが出来たとき、初めてちゃんと抱っこした気がする。
そんな状態だったので、普通病棟に移ってベビと対面してもホントに自分の子供なんだっていう実感がいまいち湧かず、その後一緒に過ごすうちに徐々に自分の中に浸透していった感じ。
産まれてすぐのカンガルーケアはやっぱり最初のボンディングを築くのに大切なのかもしれない。
でももともと母親は10ヶ月一緒に過ごしているけど、父親は産まれてから子供とのボンディングに1年かかる人もいるというらしい。
その点、Cとベビとの最初の一晩はベビとの絆を築けるいい機会になったのかもしれないけど。
まさかこんな妊娠最後&出産になるとは思っていなかったけれど、結果的にはすべてがいいほうに転がって本当にラッキーだった。
クリスマスや週末にもかかわらず、あちこち手配してくれたり電話をしてくれたり直接会って説明してくれたりと一患者のために心を砕いてくれたケアンズのDr.Wには本当に感謝。
いい先生に診てもらっていてよかった。
ブリスベンのDr.Gはスペシャリストとしての技術だけでなくて、すべてが信頼できて安心して頼ることができた。
Scan後のコンサルテーションでも分かりやすくかつ的確な説明で質問にも真摯に答えてくれ、その回答もこちらが納得、賛同できるものだったし。
手術が早いほうがいいとなると、その場で自ら手術室や麻酔医、小児科医など全員に電話をかけて手配してしまうネットワークの持ち主で。
みんなが緊張の面持ちだった手術室でも唯一リラックスした様子は安心感を与えてくれたし。
いい先生を紹介してもらえて、担当してもらって本当によかった。
たくさん心配かけたけどCや友人、家族の支えもとても大きかった。
関わってくれたすべての人がいなかったら、もしかするともしかしていたかもしれないと思うと授かった命と自分の命をめぐり合わせてくれた奇跡に感謝です。
ありがとう。
スタートは波乱万丈だったけど、子育てがどんなに大変でも無事産まれてきてくれたことを思えば乗り越えられる気がします。
この日から始まった家族3人(と一匹)での新たな道程、これからが楽しみです。